顧客エンゲージメント(カスタマーエンゲージメント)とは
顧客エンゲージメント(カスタマーエンゲージメント)の論文を1本読みました。「これが顧客エンゲージメントだ!」というものはないようです。
口コミ、紹介、SNSでのコメントなど顧客の行動面に焦点を当てると「顧客エンゲージメント活動(Customer Engagement Behavior:CEB)」として定義されます。もちろん、行動面だけでなく、心理・心理的な態度に焦点を当てることも可能です。
顧客エンゲージメントは顧客生涯価値(カスタマーライフタイムバリュー:CLV)やそれを管理・最大化しようとする顧客価値管理(カスタマーバリューマネジメント:CVM)の文脈で生まれました。CVMの管理対象の進化形で、現時点では最新のものなります。
管理する対象が、顧客満足(CS)、顧客ロイヤルティ(CL)ときて、顧客エンゲージメント(CE)になったというわけです。背景には、企業と顧客の関係の変化があります。次の図がわかりやすいです。
出所:Beckers et al.(2014) *1
上図によると、かつては企業から顧客の一方的な関係でした。そして、顧客から企業へという方向が生まれて、顧客は企業の領域にまで踏み入れました(新製品開発で顧客が意見を言うシーンは想像しやすいですね)。さらに顧客同士で関係を持つようになりました。
もちろん、顧客同士の関係は昔からありました。現代のようにITが発達し、購買時点を越えて、ブランドや企業に対する行動も把握できるようになったため、研究対象になったわけです。
顧客エンゲージメントの概念はどうも中小零細企業では使いにくそうです。顧客同士のやりとりで、中小零細企業のネタはほとんどないですから(twitter, facebook で継続して流れている情報は大企業の話題が多い)。ちょっと検討してみないといけません。
*1:Beckers, S. F., Risselada, H., & Verhoef, P. C. (2014). Customer engagement: a new frontier in customer value management. In Roland T. Rust and Ming-Hui Huang (Eds.) Handbook of Service Marketing Research. Edward Elgar Pub, pp.97–120.
http://www.elgaronline.com/view/9780857938848.00012.xml