少し違った視点のエンゲージメント論「プロセスとしての顧客エンゲージメント」
今回読んだ論文は、Bowden(2009)*1 です。タイトルは「顧客エンゲージメントのプロセス:概念的なフレームワーク」。エンゲージメントの論文をグーグルスカラーで検索をして見つけました。この分野では引用数が多いほうです。
読んでみると、JSR*2の特集号に載っていた論文とは毛色が異なり、戸惑いました。「顧客エンゲージメント」という消費者の行動や態度があるのではなく、(顧客のある製品・サービスに対する)コミットメント、関わり合い*3、信頼がどのような流れで顧客ロイヤルティに影響を与えるのか、という「プロセス」をエンゲージメントとしています。
興味深かったのはエンゲージメント論の起源に言及されているところです。もとは、組織行動の研究分野だったらしく、従業員の仕事に対する行動を扱う中で論じられてきたものだそうです。なるほど。
あとは、新規の顧客とリピーターをしっかりわけて論じていたところの興味深かったです。下の図によると、新規のお客さんで再購入する場合は「満足→打算的なコミットメント→再購入」というプロセスで、顧客感動(customer delight)がある場合は、リピーターになったときの感情的なコミットメントに影響を与えます。
リピーターの場合は、「満足→信頼(と関わり合い)→感情的なコミットメント」というプロセス。リピーターは1度経験があるので、その経験(と知識)から生まれる信頼・関わり合い・感情的なコミットメントが加味されるわけですね。
出所:Bowden(2009)
おもしろかったとはいえ、顧客エンゲージメントそのものを学ぶためにはちょっと違う論文でした。プロセスとしての顧客エンゲージメントは勉強になりました。