Knowledge As Practice

JAIST(東京)で Transformative Service Research に取り組んでる社会人大学院生の研究・勉強メモ

広告論から見たエンゲージメント

けっこう最近まで『宣伝会議』で、磯部光毅さんによる「手書きの戦略論。」という連載がありました。サブタイトルには「基礎から、まとめて、まるわかり。」とあって、初心者向けの読みやすい連載になっていました。

 
手書きとあるように、文中に出てくる図が手書きになっていて、ちょっと柔らかい感じがして、好きな連載の1つです(もう『宣伝会議』は購読してないけど)。

 
2015年3月号の内容は「エンゲージメント」について。「エンゲージメントとは、参加である。」と題して、広告に携わる方の立場からエンゲージメントを論じていらっしゃいます。

 
内容によれば、エンゲージメントという言葉は2003年生まれ。BMW Films というWebムービーが始まりのようです。

matome.naver.jp

 
そして、  

実はエンゲージメントという言葉自体、最初はデジタルではなく、雑誌メディアの価値を再定義する文脈から生まれた

 
のだそうです。なるほど。磯部さん自身はエンゲージメントを「受け手サイドの参加(気持ちの参加=興味、物理的参加=行動)を促すもの」と定義されています。アカデミックな定義(例えば、 Van Doorn et al. 2010)と比べると、緩く、わかりやすいです。

 
とはいえ、そんなの当たり前じゃん、というツッコミもきそうです。昔から広告ってそういうものだろ、と。確かに本質的には変わっていませんが、昔と現代では、消費者の受け取る情報量に大きな違いがあります。

 
そこらじゅうに情報はありますが、ありすぎて消費者は反応できない、もしくは意図的にスルーします。なので「受け手が自発的に興味を持つ、行動を起こしたくなる(=エンゲージする)コンテンツ」が必要というわけです。

 
エンゲージメントの変遷の図も興味深い。2004年からは「雑誌型エンゲージメント」、2007年からは「キャンペーンセントリック型エンゲージメント」、2010年からは「オールウェイズオン型エンゲージメント」と分類されています。エンゲージメントも、単発・短期から、継続・長期に移行しているのですね。

 
以上、広告論から見たエンゲージメントのお勉強でした。気になる方はぜひ、『宣伝会議』2015年3月号を読んでみてください。

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