Knowledge As Practice

JAIST(東京)で Transformative Service Research に取り組んでる社会人大学院生の研究・勉強メモ

「データ解析ハッカソン無料対策講座」に参加しました

日曜日(2015年10月25日)は、ソレイユデータ道場が開催した「データ解析ハッカソン無料対策講座」に参加してきました。これは、2015年11月7日に開催される「第一回データ解析ハッカソン」の事前準備講座的なものです(たぶん)。

 
ちなみに11月7日に開催されるデータハッカソンはこちら。

365e5afb367e0244f53d0d3c8f.doorkeeper.jp

 
参加目的は「Tableau(タブロー)の基本操作を知りたい」。

 
参加すると Tableau を2週間使用できる権利がもらえました。以前、Tableau をダウンロードして試用してみたのですが、さっぱり操作方法がわからず挫折したことがあります。いきなり R でコマンド操作も面倒だし、のんびりコーヒー片手にカチカチクリックしながらデータを概観できたらいいな、というのが Tableau を使えるようになりたい理由です。

 
講座は、午前中に1時間ほど、データ分析の基本講座があって、その後、Tableau の実習に入りました。画面に馴染みがないので、なかなか難しい。ポンポンと軽快にインストラクションが進むので、途中でついていけなくなってしまいました…。ただ、エクセルとかワードとかを初めて触ったのと同じように、慣れの問題だと思います。もう少し、いじってみよう。

サービス・ドミナント・ロジックの日本語文献

先日、ブログのコメントで大学生の方から質問を受けました。質問内容は「サービス・ドミナント・ロジック(以下、S-D ロジック)の文献を知りたい」的なもの。抽象的な内容が多いので、いろいろな説明を読んで理解を深めたいという趣旨だと思います。

 
コメント欄で返信をしましたが、せっかくなので新しいエントリーとしてアップします。自分のマトメにもなりますし。なお、次から挙げる文献は全部読んでいますが、私の記憶に記憶違い・勘違いがあるかもしれません。その際はご指摘ください。

 
また、論文に比べて手に入りやすい日本語の書籍・オンライン記事をメインします。ほとんどは図書館で手に入ると思います。サービスデザインとかサービス思考とかいう言葉が好きな方もぜひ知っておいてほしい議論です。

 

●まずはオススメ。わかりやすい、読みやすいもの。

一橋・藤川先生の論稿がわかりやすいです。オンライン記事で、すぐに読めて便利です。 www.dhbr.net

business.nikkeibp.co.jp

 
紙媒体としては、『一橋ビジネスレビュー』2010年夏号以降に何回か連載された「サービス・マネジメントのフロンティア」もたいへん有益です。第1回に S-D ロジックの説明があったと思います。

 

●書籍の一部にS-D ロジックが言及されているもの。

次の6冊は、ある章または節でS-D ロジックを取り上げています。それなりにページを割いているものから順に挙げます。

消費者行動論

消費者行動論

サービス・イノベーションの理論と方法

サービス・イノベーションの理論と方法

はじめてのマーケティング (有斐閣ストゥディア)

はじめてのマーケティング (有斐閣ストゥディア)

マーケティング (New Liberal Arts Selection)

マーケティング (New Liberal Arts Selection)

顧客満足[CS]の知識(日経文庫)

顧客満足[CS]の知識(日経文庫)

経営品質科学の研究―企業活動のクォリティを科学する

経営品質科学の研究―企業活動のクォリティを科学する

 
明治大・井上先生の学部生向けテキスト『消費者行動論』はやさしくS-D ロジックが説明されています。S-D ロジック研究の最前線にいらっしゃる先生の本です。2冊目は2013年度まで明治大ビジネススクールでサービス・マーケティングを教えていらっしゃた近藤先生によるもので、サービスマーケ本3部作のうちの1冊です。近藤先生のサービスマーケ本は、どれも勉強になります。

 
3冊目はマーケティング初級者向けテキストですが、かなり初めのほうにS-D ロジックが言及されている意欲的な本です。S-D ロジックのような新しい視点を知ってからマーケティングの本流を学んでいくスタイルもいいですね。

 
4冊目はマーケティングの偉い先生方が共同で執筆されていて、後ろの方のサービス・マーケティングの章でS-D ロジックが取り上げられています。5冊目も後ろの方で言及されています。6冊目は研究書です。難しかった印象があります。7章と8章が S-D ロジックのお話です。

 

●まるごと1冊がS-D ロジックや価値共創

サービス・ドミナント・ロジック―マーケティング研究への新たな視座

サービス・ドミナント・ロジック―マーケティング研究への新たな視座

リレーションシップ・マーケティング―消費者経験アプローチ

リレーションシップ・マーケティング―消費者経験アプローチ

サービス・イノベーション -- 価値共創と新技術導入

サービス・イノベーション -- 価値共創と新技術導入

価値共創とマーケティング論

価値共創とマーケティング論

 
1冊目は S-D ロジックを勉強を始める方がと必ず読む本だと思います。私もこの本からスタートしました(2013年頃でしょうか)。2冊目は研究書になりますが、リレーションシップ・マーケティングとからめながら、質的分析を行っているものです。これが日本語で読めるのはたいへんお得です。

 
3冊目は2015年に出た本です。S-D ロジックがすべてではなく、批判もなされ、北欧のサービス・ロジックを取り入れながら、日本の研究者が価値共創の議論をさらに深めようと努力されています。4冊目は2014年度に出ました。製造業と価値共創の関係について理解を深めたい方にはピッタリだと思います。

MCMC の理解を深めるベイズ統計スライド厳選集

別にクルマを運転するのに、クルマやエンジンの構造を知らなくても運転できる。スマホも電波のことやタッチパネルの動作原理を知らなくても、スマホは使える。冷蔵庫がどうして冷えてるかなんてわからなくても、自然と使ってる。

 
でも、どうして動くのか、構造がどうなっているのかがわかれば、もっと便利に、効率よく使えると思うんですよ。

 
…ええ、何の話をしているかというと、ベイズ統計分析の話です。教科書的なもので勉強をして、簡単なベイズ推定ならできるようになったのですが、MCMCマルコフ連鎖モンテカルロ法)がピンとこないんです。

 
MCMC が直感的にでも、そして今よりも深く理解できれば、Stan コードを楽しく書けたり、本質を付いた分析結果の解釈ができるのかなと思ったものですから、調べることにしました。

 
ええ、スライドシェアで…。他人様のフンドシを使ってばかりで申し訳ないですが、先人の知恵をお借りしようと。いろいろ見た結果、次の4つがとても参考になりました。

 
5分でわかるベイズ確率

www.slideshare.net

32枚。シンプルイズベストのスライドです。文字中で、スラスラ見られる。

 
可視化で理解するマルコフ連鎖モンテカルロ

www.slideshare.net

可視化が本当にありあがたいです。「あ、こんなふうに動いてるんだな」とMCMC の直感的な理解に役立ちました。

 
マルコフ連鎖モンテカルロ法 (2/3はベイズ推定の話)

www.slideshare.net

ビジュアルいっぱいで楽しい。最後に、この順番で勉強してくれ、とブックガイドがあるのでありがたい。

 
学部生向けベイズ統計イントロ(公開版)

www.slideshare.net

一気通貫して、実際に分析まですごくわかりやすく説明してくれているのはこのスライド。統計分析の勉強では何人も私淑している先生がいますが、そのうちのお1人です。

岩波データサイエンスは今週末に読みます…。土曜日には届くはず。

Kobe.R で発表「しません」でした

2015年10月3日(土)は Kobe.R に参加してきました。20名弱の参加だったと思います。グランフロント大阪・ナレッジサロンのミーティングルームを使っての開催でした。今回は発表者が多く、私も発表する予定でしたが、時間的に断念しました。

 
発表する予定だったテーマは「速習 R Markdown」です。さらっと R Markdownについて見た後、ハンズオンでやってみよう、という企画(の予定でした)*1

www.slideshare.net

 
スライドはパワポで作成しています。本当は .Rpres で作るべきだったのですが、「スライドシェアでアップできないじゃん!*2」と思い込み、パワポで作成。

 
もちろん、図をたくさん使うとか、細かい図の位置修正などをする場合はパワポのほうが向いているという理由も大きくあります。

 
Kobe.R で発表される内容は文系(社会科学)に私にとってはけっこう厳しいものがあります。7割くらいは何を言っているのかわからない…。でも、勉強になるものもあります。今回はベイズ統計やglmmstan の紹介がとても参考になりました。

 
なお、次回は2015年11月3日(祝)です。まだ正式な案内は出ていません。Kobe.R のページはこちらです。開催予定が更新されるかもしれないので、ぜひチェックしてください。

https://kobexr.doorkeeper.jp/

*1:次回に回さそうと思ったのですが、せっかくスライドを使ったので、公開します。権利関係上、実際に使用する予定だったスライドから、いくつかネタを削除しています

*2:Rpubs を使えばいいのに気づかなかった…

ベイズ推定はベスト!?

少し前から『Doing Bayesian Data Analysis』を読んでいます。

Doing Bayesian Data Analysis: A Tutorial with R, JAGS, and Stan

Doing Bayesian Data Analysis: A Tutorial with R, JAGS, and Stan

 
著者は "Puppy Book"(子犬本)と読んでいて、表紙にかわいい子犬が3匹いるのが目立つ本です*1。社会科学(と生物学?)向けでやたら複雑な数式はなく、読みやすそうなので読み始めました。

 
読んでいるのは電子書籍著者割引を使えば6000円ほどで、PDF版とKindleで読めるフォーマットがダウンロードできます*2

 
1章には「ほんとに忙しい人は2章を読んだら、"Bayesian estimation supersedes the t test.*3" という論文を読め、そうすれば16章まで読んだとの同じだから」と書いてあります。なので、2章のあとに、その論文を読みました。

 
論文の主張は「とにかくベイズ推定。帰無仮説検定よりずっと得られる情報が多いから、ベイズ使え」の一点張り。これくらいのポジションを取るのって大事だな、と違うところで関心しました。ちなみに著者はこの論文の中でベイズ推定を BEST と略しています(ベイジアンエスティメーションの略)。ベイズサイコーってやつです。

 
書籍で使用されている分析ツールはR、JAGS、Stan。コードもあります。まだそこまで読んでいないですが、今後もじっくり読んでいく予定です。次々回以降のKobe.Rで学んだ内容を発表していこうかな、と画策しています*4

 
以下、3章までと論文を読んだ自分用メモです。

ベイズデータ分析には2つの基本的な思想がある。
1つ目の思想は「ベイズ推定は可能性の中にある信頼性の再配置する*5」こと。
2つ目の思想は「(信頼性を配置する)可能性とは、意味のある数学的モデルの中にあるパラメーターである」こと。

 

ベイズ統計分析でパラメーターを推定する。
パラメーターはデータの発生を刺激する装置の調整つまみみたいなもの。
私たちの目標は、どのモデルが信頼性あるかを評価すること。

*1:ちなみに、いちばん左の子犬がなぜ退屈そうにあくびをしているのかも意味があります。

*2:紙の本は大阪の丸善ジュンク堂にあります。14000円くらいだったかな。分厚いです

*3:Kruschke, J. K. (2013). Bayesian estimation supersedes the t test. Journal of Experimental Psychology: General, 142(2), 573.

*4:今回10月3日はR Markdownについて発表します。

*5:数ある可能性に対して信頼性を配置すること、とも。うまく日本語に直せない…。

第11回「価値共創型マーケティング研究報告会」に参加してきました

2015年9月27日(日)は大阪産業大 梅田キャンパスにて、「価値共創型マーケティング研究会」に参加してきました。これは日本マーケティング学会のリサーチプロジェクトの1つで、定期的に東京と大阪で開催されています。前回は参加できなかったので(っていうか、申し込みを忘れてた)、半年ぶりの参加です。

www.j-mac.or.jp

 
f:id:hikaru1122:20150929170815j:plain

 
この会は「価値共創」をメインテーマに、質的研究を通して理論を構築を目指しているように思います。最近は統計分析の勉強ばかりやっていたので、質的研究に触れられる機会はとても貴重なのです。

 
今回は発表が2つありました。1つは神戸大MBAを修了されて、広島大の後期課程に進学された方からのもの(うらやましい!)。もう1つは茨城大の先生からのもの。どちらも、たいへん勉強になりました。

 
だいたい30分くらいの発表後、1時間ほど討議を行います。前に座ったので、「質問をしなければならない」という強制力が働いて、質問することができました。私のような人間は、前に座ることが必要です…。

 
記憶によると、次のような質問をしたと思います。

  • 研究対象の企業は顧客との直接的な相互作用を大切にしているが、顧客からの声をもらうときに、何か特別に工夫していることはあるか?

  • 顧客との直接的な相互作用、消費プロセスに入り込む、ということを続けて商品開発などを行うと、いろいろアイデアは出てくる。ただ、いろいろ出てくる分、企業の活動の範囲・境界線がどんどん曖昧になってくるのではないか。どのように範囲を決めればよいのか?

  • キューピー(マヨネーズ)のように、全国区で誰もが知っているようなブランドは典型的な4Pマーケティングを行っているように思う。それに対して、今回発表された企業はどちらも地域密着志向で、やっていることは泥臭い(いい意味で)。価値共創型マーケティングは全国区、マーケティングのメインストリームになる可能性はあるのだろうか?

 
先生方から「いい質問です」といってもらえたのが救いです。いつか質的研究もちゃんと取り組めるようになりたいと、気持ちを新たにできた1日でした。

保存版。Rpresentation の記法メモ

.Rpres に関する情報(日本語)が少ない!

.Rpres は RStudio で作るプレゼンテーションスライドです*1。こういうことができますよ、という説明ページは見つかるんですが、じゃあどうすればいいかまでは書いていないところが多いです。

 
というわけで、来月(10月3日)の Kobe.R の発表準備用に調べたことをメモしておきます。以下の内容は、「File→New File→R Presentation」のあとで設定するものです。

f:id:hikaru1122:20150922003025p:plain

 

画像を表示させる。

![](rm.png)

半角の!に、閉じカッコ[]に、丸カッコ()という書式。閉じカッコは代替テキストで、空白の[]でもOK。画像は作っている .Rpres ファイルがあるフォルダと同じ場所にしておけば、ファイル名を書くだけでよくなります。

 

スライドのサイズを決める

スライドのサイズを決めるには、ヘッダー部に width と height を入力*2。フォントも指定できる。たとえば、ヘッダー部に次の項目を追加します。

font-family: 'Migu 1M'
width: 800
height: 600

 

文中にパッケージ名やRコードを強調表示させたい

`head(iris)`

バッククオート(「Shift+@」)で囲めばOK。 
 

文中にRコードを書いて、実行させたい。

`r sqrt(4)`

1つ目のバッククオートのすぐ次に r と半角スペースをつけて、その後に実行したいRコードを書きます。あまり使いみちがないような。簡単な計算くらいですかね。 
 

R コードを結果の両方を表示させたい。

```{r}
head(iris)
```

↑のような表記を「コードチャンク」といいます。バッククオート3つに{r}をつけて、改行してコードを書き、さらに改行してバッククオート3つです。これが基本形です。この基本形にいろいろオプションをつけていきます。

 

コードだけを表示させたい(実行しない)

```{r eval = FALSE}
head(iris)
```

コードを評価(evaluate)させない、という意味です。  
 

コードだけを表示させたい(実行はさせる)

```{r results = 'hide'}
head(iris)
```

コードを実行させるなら(あまり使いみちなさそうだけど)、上のようにします。  
 

結果だけを表示させたい

```{r echo = FALSE}
head(iris)
```

結果だけを表示させたい(つまり、コードを表示させない)場合は、echo = FALSEをつけます。  
 

コードチャンクに名前をつける

```{r tashizan}
1 + 2 + 3+ 4 + 5
```

{r のあとに、半角スペースを空けて、ローマ字で参照名をつけます。名前をつけたコードチャンクは、下の記法で利用することができます。  
 

名前をつけたチャンクの結果だけを表示させる

```{r ref.label = 'tashizan', echo = FALSE}
```

名前をつけたチャンクは、ref.label ='チャンク名' で利用できます。ダブルではなくて、シングルクオートなのに注意してください。 
 

メッセージ、警告文やエラーを表示させたくない*3

```{r message = FALSE, warning = FALSE, error = FALSE}
library(car)
```

3つのオプションをてんこ盛りしましたが、実際は message だけでいいかもしれないですね。  
以上、Rpresentation の記法メモでした。

 

参考にしたページ

R Presentationでいい感じのテーマといい感じのフォントを使う - Technically, technophobic.

Rとウェブの融合(5)ーslidify、R Presentationー

R Presentations – RStudio Support

*1:R Markdown からもスライドを作ることができますが、ちょっと記法が異なります。

*2:自動的に決めるには、autosize: true でOK。

*3:library() を使う時に便利かな。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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