Knowledge As Practice

JAIST(東京)で Transformative Service Research に取り組んでる社会人大学院生の研究・勉強メモ

量的アプローチによる価値共創の研究発表@第6回知識共創フォーラム in 金沢

先週(2016年3月12〜13日),金沢で開催された第6回知識共創フォーラムで発表をしてきました。相馬・清水(2015)*1に大きく影響を受けた分析の結果発表でした。もともと潜在ランク理論はどこかで知っていて,自分の研究に使えそうだなぁと思っていたところに相馬・清水(2015)が出たので,その時はとても驚きました。

 
発表タイトルは「価値共創の促進に意味はあるか?」です。情報学系な人には参考にならないと思いますが,経営学系で量的な研究をされる方(本当に少ないと思うけれど…)の少しでも参考になれば,と思います。

 
発表に使ったスライドは下です。

www.slideshare.net

 

分析の方法・ツールなど

分析の方法・ツールなどは次のとおりです。過去,本ブログや Kobe.R で発表してきたまとめ的な分析を行いました。

 

分析の方法 使用したツール
潜在ランク理論 exametrica
ウィルコクソンの順位和検定 R, wlicox.test()
クラスカル・ウォリス検定 R, kruskal.test()
線形連関の検定 R, coin::lbl_test()
ベイズ推定による多項ロジスティック回帰 R, brms::brm()
ロジスティック回帰(普通の) R, glm()

 
今回の発表はケーススタディが多い(ような気がする)共創研究に量的アプローチを行った例です。分析に使ったアンケートは1〜7のリッカート尺度なので,独立性の検定にはノンパラメトリック検定を使っています。

 

ベイズ推定による多項ロジスティック回帰

brms パッケージを使用しました。以下のコードで一発です。下でも書きましたが,brm()のオプションはまだ理解していません。

library(brms)
rstan_options(auto_write = TRUE)
options(mc.cores = parallel::detectCores())
fit1 <- brm(qol ~ kyousou, data = d, family = categorical)

 
使用したデータはこちらに置いておきました。気になる方はお試しください。

www.dropbox.com

 

分析でわからないところ

誰にも聞けなかった(というか,周りにわかる人がいない)ため,自信がない・わからないところは次のとおりです。

  • 最後の2つの分析(多項ロジスティックと普通のロジスティック回帰)では,アンケート結果を間隔尺度として扱いました。尺度の扱いに一貫性がないのはどうかなぁ,と思っていますが判断がつきません…。

  • さらに,多項ロジスティック回帰はアンケート結果を名義尺度にしてしまいました。これも適切かどうか…。1〜7のうちどの選択肢が選ばれるかという観点から多項ロジスティック回帰でやってみようとした次第です。

  • 多項ロジスティック回帰はベイズ推定を使ってやってみましたが,オプションは初期値ままです。収束はしたので大丈夫かとは思いましたが,適切な初期設定を知りたいところです。

 

発表を終えて

実は,今回が初めての口頭発表でした。聞いてくれた方のうち,おもしろいと思ってくれた方はいたようでホッとしました。どのへんがおもしろかったか,ちゃんと確認しておけばよかった。また今回の発表では因果関係を示したわけではないので,因果を調べられるようになりたいものです。

*1:相馬敏彦・清水裕士(2015)「ワンランク上のブランド・コミットメントはどう形成されるのか? ─顧客の潜在ランクへの分類と拡張版投資モデルのブランドの適用─」『マーケティングジャーナル』第35巻第3号,75-94頁.

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