サービス経済なんて存在しない! "Service-Dominant Logic" (2014)を読む 2日目
かなり間が空きましたが、 Service-Dominant Logic(2014)を20~30ページまで読了。30ページまでが第1章です。タイトルは "The service-dominant mindeset"。第1章だけ読んでも、だいたいサービス・ドミナント・ロジックについてはわかります。
この章の後半は刺激的な言葉が並びます。
- S-D ロジックで考えると、マーケティングは部門の一部が担当するものではなく企業全体にとっての最優先事項である。
- サービス*1経済なんてない。
- サービス業*2なんてない。
- 生産者も消費者もいない。
- 企業は単独で価値を生み出せない。
- 企業には(サプライヤーや消費者との間に)比較的境界がない。
- マーケットは存在しない。
後半2つはまだよく理解できませんが、Lusch & Vargo は「S-D ロジックは直感に反するものだ」と説いています。たしかに、上記の項目は通常の私たちの理解とは異なります。
私が注目したのは23ページからです。Lusch & Vargo はここではっきりと「使用価値(Value-in-use)という言葉は適切ではなく、文脈価値(Value-in-context)と呼ぶのがもっともだ」的なことを書いています。
また「価値が特有に作られ評価される社会システムの文脈の中で価値創造を捉える必要がある」とも言っています。要は価値創造の現場は1つとして同じ状況・背景(すなわちコンテクスト:文脈)がない、というわけです。
なんだか哲学的になってきました。このあたりをわかりやすく説明できたら、もっと世間に S-D ロジックが受け入れられそうです。サービス研究者の踏ん張りどころなのでしょうね*3。
なお、S-D ロジックについてまったく知らない方はこちらを参照してください。
hikaru1122.hatenadiary.jp
以上、Service-Dominant Logic(2014)の2日目でした。
Service-Dominant Logic: Premises, Perspectives, Possibilities
- 作者: Robert F. Lusch,Stephen L. Vargo
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2014/01/30
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