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Knowledge As Practice

JAIST(東京)でサービス経営の研究をしている社会人大学院生の研究・勉強メモ(統計分析多め)。

サービス・ドミナント・ロジックをやさしく説明してみる(4)

サービス研究 サービス・ドミナント・ロジック

今回は価値共創という単語を使う際の注意点についてです。


S-D ロジックそのものは新しいビジネスの仕組み・ビジネスモデルではありません。ここ、勘違いされる方も多いので気をつけてください。また、製品や製造業よりもサービス業*1のほうが大事だと言っているのでもありません。


S-D ロジックのインパクトは、製品(Goods)とサービス(Services)をわけて扱うのではなく、「サービス」を軸にして両者を統合して考えようとした点にあります。そして、価値は企業が一方的に提供できるものではなく、企業と顧客がリソースを統合した「サービス」の交換によって共創されるといった点です。


価値共創のコンセプトそのものは新しいコンセプトではありません。顧客の声・意見を聞いて新しい製品・サービスの開発するという意味での価値共創、サービス提供時に顧客の状態に合わせたり、顧客が要望を出してそれに答えたりという意味での価値共創は以前からありました*2


しかし、これらの価値共創とS-Dロジックにおける価値共創は意味が違います。「共創」は共通していると言えますが、「価値」の意味が違うのです。S-D ロジックにおける価値は Value-in-context。顧客(受益者)が製品・サービスの価値を決めます。顧客中心、顧客起点と言えます。


それに対して従来の価値共創は企業が中心です。企業が新製品・サービスで売上・利益・市場シェアなどのアップを主な目的のためになされます。すなわち、従来の価値共創の価値は Value-in-exchange です。


このように、ひとえに価値共創といってもいくつか種類があります。どの価値共創が正しいのかではなくて、どういうスタンスの価値共創なのかに気をつけてください。そうすれば、議論が咬み合わないということは少なくなると思います。


※間違い、誤解などがあれば教えていただけると幸いです。

*1:ここのサービス業は複数形のサービスのことです。このブログでは単数形のサービスはカギカッコつきの「サービス」と表現します。単数形のサービス、複数形のサービスについては「サービス・ドミナント・ロジックをやさしく説明してみる」シリーズをご覧ください。

*2:なんでも価値共創というのは見分けづらいので、新製品・サービス開発の価値共創は「共同生産(Co-production)」、サービス提供時の価値共創は「顧客参加(Customer participation)」と区別するのがわかりやすいと思います。

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