サービス品質をどのように測ればいいか、コンパクトに学べる論文
今日読んだ論文は「サービス評価モデルの発展と今後の展望」*1です。サービスの評価というのはモノ(製品)とは違って、客観的な品質評価をするのがなかなか難しいです。
その理由は、サービス・マーケティングの伝統的な考え方だと「サービスには無形性・異質性・不可分性・消滅性があるからだ」とされます。要は、目に見えないし、サーブするのは人なのでいつも同じようにサービス提供できないし(人は機械のように同じ動きはできない)、保存できなから確かめられないというもっともな理由です。
それでもなんとかして評価しないと、改善が見込めませんし、なにが優れたサービスなのか比較ができない。ということでサービスの評価はいろいろと考えられてきました。この論文は初めにサービス評価の方法を北欧派と北米派で整理しています。
北欧派はサービス評価モデルを成果品質・相互作用の2次元で捉え(その後発展して、3次元で捉えることもあります)、北米派は5次元で評価します。北米派の5次元のモデルが、かの有名な「SERVEQUAL」(サーブカルもしくはサーブコルと読む)です。
さらに、長島(2014)はサービス評価モデルの発展を「学術的発展」と「実務的発展」で整理していきます。このブログを読んでいる方は実務家が多いので、実務的発展にフォーカスあてて紹介します。実務的発展は「特定分野への適用」「サービス振興を目的とした業界横断的品質計測」にわかれるそうです。私の修論は前者(特定分野への適用)でした。後者の有名な例は JCSI です。
目に見えない、品質にバラツキがあるサービスをどのように評価するのか興味がある人はぜひ読んでみてください。コンパクトにサービス評価モデルの系譜、問題点、これからについて書かれています。もっと深く学びたい方は、関西学院大学の山本先生の本がオススメ。
新装版 サービス・クォリティ―サービス品質の評価過程 (bibliotheque chikura)
- 作者: 山本昭二
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- 発売日: 2010/03/19
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*1:長島直樹(2014)「サービス評価モデルの発展と今後の展望」『経営論集』,84,65-79。