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Knowledge As Practice

JAIST(東京)で Transformative Service Research に取り組んでる社会人大学院生の研究・勉強メモ

行動経済学的アンケートを行った研究を読む

今日読んだのは、江本(2012; 2013)です*1。こちらの論稿は糖尿病の患者さんに行動経済学的なアンケートを取り、2型の糖尿病患者さんに役立つ知見を探そうというものです。


行動経済学的アンケートとは、先行研究をもとに「危険回避度」「時間割引」に関する質問をしたものです。例えば、こんなの。


あなたが普段お出かけになるときに、傘を持って出かけるのは降水確率が何%以上のときですか?

百分の一の確率で10万円が当たるくじがあります。あなたならいくらなら、このくじを買いますか?

あなたを含む100人のうち、10年以内に心筋梗塞脳梗塞になる人が何人だと自分も心筋梗塞脳梗塞になると思いますか?

あなたは子供のころ、休みに出された宿題をいつ頃にすることが多かったですか?
出所:江本(2012; 2013)から抜粋。



それぞれの質問の単純な分析では、1型と2型の患者さんで違いは見られなかったそうですが、2型は回答方法がちょっと違うそうです。どうやら「神経経済学的意味での適応障害である可能性」「2型の発症にはリテラシー能力の低下が関与」ということが考えられるそうです。


このあたりの研究はよくわかりませんが、このようなアンケートの研究があるのは興味深い。価値共創の研究*2は消費者の心理に注目しないといけないと考えています。だって、「価値は独自に現象学的に決定され」るという基本的前提がありますし*3。そのため、行動経済学的なアンケートを組み込むはいいかもしれません。


なお、この研究で私がいちばん関心したのはアンケートの取り方です。2012年の研究では郵送調査で返答してくれた方に図書券を渡していたそうです。そして、2013年には調査票を渡すときにいっしょに図書券(500円分)を渡したら、返答率が大幅に増した。


こういうこと(返報性の法則)は知っていましたが、やっぱりそうすることが大事なんだ、自分の研究ではそうしてみようと、腹をくくることができました。


ちなみに、こういうことを調べているのは、先日の日本商業学会研究大会の講演で、青学の小野譲司先生が「行動経済学の実験・研究が役立つかも(超訳)」とおっしゃっていたからです。というわけで、今後も継続的に行動経済学の資料は探します。

*1:江本直也(2012)「糖尿病患者に対する行動経済学的アンケートの有用性の検証」『行動経済学』, 5, 201-203。
江本直也(2013)「行動経済学的アンケートによる糖尿病患者の病型病態分析」『行動経済学』, 6, 78-80.

*2:サービス・マーケティング、サービス研究の文脈で言っています。

*3:もちろん、これを金科玉条にする必要はない

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