Knowledge As Practice

JAIST(東京)で Transformative Service Research に取り組んでる社会人大学院生の研究・勉強メモ

【再読】ブランド研究と価値共創研究の融合を考える論文

今日読んだ論文は「消費者行動研究における最近の展開」*1です。消費者行動行動論の研究の系譜をざっとつかめます。ブランド研究と価値共創研究を織り交ぜているので、自分の研究計画書づくりに役立つのではないか、ということで読みました。


今回、目を引いたのは2000年以降のブランド論について。これまでのブランド論は消費者が商品などを選ぶ際の手がかりだったり、リスク削減、意思決定の単純化が目的だったと。それに対して、新しいブランド論では、ブランドは次のように捉えられています。

ブランドは意味であり、人々の生活を支援し、人生に意味を与えるための手段である。分析の焦点は消費や使用のプロセスに当てられ、そこでの経験的な側面やブランドの象徴的な意味が問題とされる。また、消費者は、そのようなブランドの意味の能動的な創り手として位置づけられ、企業はブランドの意味を創造する主体の1つにしか過ぎない


私の研究も消費・使用段階を対象にしようと考えているので、とても共感できます。なお、このあたりの話は、こちらの本でも読んだ記憶があります。修論で引用しようかと思いましたが、ブランドの議論まで踏み入ると迷いそうなので、当時はやめました。

 

価値共創時代のブランド戦略―脱コモディティ化への挑戦

価値共創時代のブランド戦略―脱コモディティ化への挑戦

 

 

共創*2されるブランド力というのをどう測るか。それがこれからの問題です。普通に、リピート率・回数、購入金額、クチコミで測ってははいけないでしょう(従来の考え方と同じになってします)。


青木(2014)では「ブランド・エクスペリエンス」「ブランド・リレーションシップ」という言葉が出てきます。これが大きなヒントになりそうですが、測るのは難しそう。


価値とか共創とか経験とか関係とか、ほんとうに抽象的な言葉で困ってしまいますね。価値共創というせっかくのいい議論も実社会で活かさないともったいない。No measurement , No control。計測によって、活用の幅は広がるはず。


このへんは社会心理学社会学が解決の鍵だと思っているのですが…。

*1:青木幸弘(2014)「消費者行動研究における最近の展開 ―新たな研究の方向性と可能性を考える― 」『流通研究』, 16(2), 3-17。

*2:企業が提供する製品・サービス、つまり offering への顧客参加のことを指していません。

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