Knowledge As Practice

JAIST(東京)で Transformative Service Research に取り組んでる社会人大学院生の研究・勉強メモ

サービス・マーケティングの北欧派の考えがよくわかる貴重な一冊

今年、翻訳が出た『サービス・ロジックによる現代マーケティング理論』を読みました。なんだか表紙がおしゃれなデザインです。

サービス・ロジックによる現代マーケティング理論: 消費プロセスにおける価値共創へのノルディック学派アプローチ

サービス・ロジックによる現代マーケティング理論: 消費プロセスにおける価値共創へのノルディック学派アプローチ

 
著者は北欧派の代表的存在のグルンルース(Christian Grönroos)です。ヒゲをたくわえたおしゃれ紳士(会ったことないけど)。フィンランドにあるハンケン大学の先生です。2013年には別の翻訳書が出ています。

北欧型サービス志向のマネジメント―競争を生き抜くマーケティングの新潮流

北欧型サービス志向のマネジメント―競争を生き抜くマーケティングの新潮流

 
イメージビデオ(?)もおしゃれ…。
vimeo.com

 
2冊とも目を通してますが、今回の本(『サービス・ロジックによる~』)のほうが読みやすいです。テキストではなく論文集なので、文体が簡潔明瞭だからだと思います。じっくり読める教科書的な本を探している場合は『北欧型サービス志向~』のほうがよいかもしれません。

 
翻訳者は目白大の蒲生先生です。昨年の日本マーケティング学会カンファレンスの「価値共創型マーケティング研究会」にて発表をされていたのですが、残念ながら聞くことができませんでした。グルンルースの本を2冊も訳されていらっしゃるので、いつか講演や発表を聞いてみたいです。

 
私はサービス・マーケティングは大きくわけて2つの流派があると思っています。すなわち北米と北欧です*1。大きな論点の1つが、北米派のサービス・ドミナント・ロジック(S-Dロジック)と北欧派のサービス・ロジック(Sロジック)です。

 
S-Dロジックが理論・抽象的な方向を目指しているのに対し、Sロジックは実践・具体的な方法を目指しているように思えます。なので、仕事のヒントを得やすいのは、北欧派のほうかもしれません。北米派と北欧派は互いに刺激しあっています。

 
サービス・マーケティングを通して勉強したことがある人は誰でも名前を知っているグルンルースですが、まだまだ知らない人が多いと思います。サービス業に従事していて、サービス・マーケティング*2に興味がある方は、ぜひ読んでみてください!

サービス・ロジックによる現代マーケティング理論: 消費プロセスにおける価値共創へのノルディック学派アプローチ

サービス・ロジックによる現代マーケティング理論: 消費プロセスにおける価値共創へのノルディック学派アプローチ

*1:今回の本の中では3つあると言っています。北米、北欧、ヨーロッパ。

*2:グルンルース本人は「サービス・マネジメント」という言葉を好んでいるように感じています。

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