Knowledge As Practice

JAIST(東京)で Transformative Service Research に取り組んでる社会人大学院生の研究・勉強メモ

「スマホ」と「スマートフォン」の違い

先日、スマートフォンはいつ頃から一般的になったのかと調べようと思いました。そこで、Googleトレンドで検索。そのときに「スマートフォンって、スマホというから、スマホの検索数も調べよう」と思い、2つを検索した結果、自分的には驚きの結果が表示されました。


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出所:Googleトレンド(赤い線がスマートフォン、青い線がスマホ


もはやスマートフォンが死語。「スマホ」が「スマートフォンの略語」ではなく、一般な名詞になっていると言えそうです。なぜこうなってしまったのか。後学のため、調べてみました。


Googleトレンドによると、「スマートフォン」という言葉は2010年春・夏から上昇スタート。2011年7月にピークを迎え、急激に下がっていきます。一方、「スマホ」という言葉は2011年春に上昇開始。2012年1月以降、逆転し2012年9月に1つのピークを迎えます。その後、高い検索数で安定しています。


言葉してのスマートフォンスマホの出来事については、毎年12月に発表される「流行語大賞」では、2011年に「スマホ」が受賞しています。「2011年はスマホ普及の年といわれ、夏には携帯電話端末の販売台数の半分以上をスマートフォンが占めた」とあります*1

なお、2011年前後からに実際の販売台数および利用率・普及率は次のようになっています。

■販売台数のグラフ

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出典:http://www.m2ri.jp/newsreleases/top.php?cc=m1より作成。

スマートフォンの利用率と普及率

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出典:http://consult.nikkeibp.co.jp/news/2014/0829sp/


実際の販売台数・利用率などから見ても「スマホ」という言葉から見ても2011年は転換点だったと言えます。多くの人たちが購入し、使うようになって、「スマートフォン」という言葉が短くて使いやすい「スマホ」に取って代わられたわけです。さて、ここで1つの疑問がわいてきます。それは

「いったい誰がスマホという言葉を使い始め、普及させたのか?」

です。


こういうのを事前に調べてくれた人がいます*2。そのエントリーによると、「スマホ」という言葉が初めてネットに登場したのは、2008年7月14日です。そして「スマホ」は「強烈な違和感を感じる人は多かったが、それでも普及してい」きました。


また、スマートフォンの略語として「スマフォ」があります。これはパナソニックが浸透させようとしたらしいですが、失敗したそうです。なお、「スマフォ」と「スマホ」についてはこちらで「言葉の恣意性」という観点からエントリーが書かれています。


言語学・音声学的なアプローチからは「「スマホ」のように元の語にない音を使う略語は珍しい」」そうです。「スマフォ」「スマフォン」「スマホン」ではなく「スマホ」になった(普及した)のは、「~ホン」は使い回されていて新しい smartphone に合わない、そして発音のしやすさ,聞きやすさではないかとされています*3


結果として、企業が用意した言葉が破れ、草の根の言葉が普及したわけです*4。現代人の生活に必要不可欠な携帯端末がガラケーからスマホに代わり、「スマホ」という言葉は「パソコン」と同様に日常語となりました。


次に知りたいのは、「スマホ」という言葉が「スマートフォン」という製品の普及に影響を与えたかどうかですが、私の関心からはちょっと外れるので、どなたかに調べてほしいと思います。

*1:http://singo.jiyu.co.jp/nendo/2011.html

*2:http://parasiteeve2.blog65.fc2.com/blog-entry-1136.html?pc

*3:https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/kotobax3pdf/090.pdf

*4:まぁ別に「スマフォ」であろうが「スマホ」であろうが、スマートフォンそのものが普及してくれれば、企業としては問題ないように思いますけどね。

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