Knowledge As Practice

JAIST(東京)で Transformative Service Research に取り組んでる社会人大学院生の研究・勉強メモ

博士後期課程に入って2年経ちました

「もうブログ終わっちゃったんですか?」ときかれたので書きます。書かなかったのは、ここ最近は質的研究に取り組んでいて、特に書くネタがなかったからです。たぶん、かなりRの操作を忘れています・・・。

 
さて、JAIST 東京の社会人博士後期課程に入ってから丸2年経ちます。私は情報科学ではなくて、知識科学系(ザックリいうと経営学のほう)に属しています。あまり社会人学生の情報がない、という声も聞くので、すこし感想を書いておきます。

 
1.研究はどう進めているのか
2.ここ2年間の成果報告

の2点です。

 

1.研究はどう進めているのか

 
基本は平日の夜と土日にやっています。毎日、論文書いたり研究できたりするわけではありません。しかし、1段落でも論文を読んだり、1文字でも何か書く努力はしています。社会人院生は研究が進まないときに「仕事に逃げる」ということができ(仕事が夜遅くなるときがあるし、バタバタするのも日常茶飯事)、「仕事が忙しくて研究が進まなかった」と言い訳が立ちます。

 
こういうことはなるべく避けたいなと思い、防止策として今年初めから社会人学生どうしで「研究進捗部」を作り、みんなでコツコツ進捗を出しています。

 
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↓のアイデア丸パクリ参考にしました。

www.buzzfeed.com

 

2.ここ2年間の成果報告

 
1年目(2016年)は特に成果なし。授業を取ったり(5~6科目を取らないといけない)、研究に関係ありそうな書籍や論文にあたってみたり、新生活への対応に追われていた気がします。月に1回のゼミ前に有志で行う統計分析の勉強会で、半年間ほど統計的因果推論を学んだことがいちばん印象に残っています。

 
※資料はこのへんにあります。

https://www.slideshare.net/hikaru/1-62476733

Presentations by Hikaru Goto // Speaker Deck

 
2年目(2017年)は国際会議(大会? conference)に4つ投稿して、1つめはOK、2つめはNGが出ました。3つめと4つめは結果待ち、またはあさってに投稿です。OKが出たところは小規模ながら、質の高い場所で参加してよかったと思います。「研究がんばったで賞」もいただくことができ(なぜかその場で賞金400ドルまで出た)、黒字になって帰国しました。

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海外の学会ってお金持ちなんでしょうか。

https://www.irssm8atyonsei.com

 
NGが出たところは査読コメントに「理解してくれてない」というネガティブな印象を持ってしまったものの、英語力不足・準備不足があいまった結果だと思っています。

https://www.ieseg.fr/en/faculty-and-research/research-events/servsig-2018/

 
国内の大会でも1つポスター発表しました。個人的にはポスター発表のほうが好きです。質問の受け答えやフォローが口頭発表より濃くできるので。

第5回国内大会(2017/3/27-28) - サービス学会(Society for Serviceology)

 
あと、上海にある大学でも発表を行いました。話すことで自分のアイデアも固まるので、こういうのって大事ですね。

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上海、勢いある。

他に、すうがくぶんかの統計分析のセミナーに出たり、国際公共経済学会のサマースクールに1日だけ参加したり、行動計量学会春の合宿セミナーに1日だけ行ったり、マーケティング学会の研究会をのぞいてみたりしました。

 
結果、次の修了要件のうち、ほぼ半分は達成できたかと思います。大学には長期履修(目標は4年)を申請済みなので、残り期間もあと半分です。

 
国際会議で発表→○
授業11単位→△(あと1つ)
査読付論文→×
副テーマ研究→×

 
3年目の2018年度が正念場ですね。

R を使うための Jupyter notebook インストールメモ

【2016年9月27日追記あり(いちばん下)】

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土曜と日曜(2016年9月24日・25日),石川・品川の人たちと合宿に参加しました。2日目に3時間ほどのRの実習をする機会に恵まれ,つたないながらファシリテーター的な役割を務めました。ゼミは多国籍チーム(4カ国)なので,スライドは英語で,しゃべりは日本語中心*1

 
RStudio を使ってやってみたところ,起動画面がぱっと見で複雑そうな印象を与えるかもしれない,とふと思いました(実際,起動した瞬間に参加者から「あ,なんか難しそう」という空気が広がったような。)。

 
もう1つの可能性として,jupyter notebook(じゅぴたーのーとぶっく)があるかなと思いインストール。注意点と手順を2ステップで半年後・1年後の自分のためにメモしておきます。mac 向け。

 

【ステップ1】

↓の1〜6.を実行。5.のとき anaconda のバージョンは最新のものにした。

qiita.com

 

【ステップ2】

↓に従って,jupyter notebook をインストール。

Installation · IRkernel

 
無事,jupyter notebook で R が使えるようになりました。でも,初心者向け R 実習に使うには厳しいです。理由は2つ。インストールが難しい(っていうか,面倒。時間もかかる)のと,コードの補完機能がないから(あれは初心者には便利のようです)。

 
とは言え,画面はスッキリして威圧感ない。なんか出力結果に罫線があるし,見やすい。個人的には好き。

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そしてここまで書いて気付いた。 R notebookっていう選択肢があるじゃないか。また今度の機会にしよう・・・。

 
●参考

speakerdeck.com

 

【追記1】

ターミナルで毎回 jupyter notebook と打つのは面倒なので,note というエイリアスを設定した。エイリアスの設定方法は次のページがわかりやすい。

qiita.com

【追記2】

コードの補完機能がない,と上で書きましたがウソでした。あります。コードを書いているときに,tab で出ます。

 

【追記3】

等幅フォントにするにはちょっと設定が必要。以下、mac の場合をメモ。
1.ホームディレクトリのライブラリフォルダに移動。
2.隠しフォルダ .jupyter を表示(コマンド+シフト+.)
3.その中に custom フォルダを作る。
4.さらにその中に custome.css を保存する。
CSSファイルの中身は↓。
.CodeMirror pre, .output pre { font-family: Monaco, monospace; }
デキる人はコマンドライン一発なのだろうが、ムリなのでアナログ(?)でやった。
参考ページは↓
http://rakuishi.com/archives/jupyter-font-family/

*1:第一声は英語にしたけど,英語と日本語を交えながらやっていたら,だんだんシン・ゴジラ石原さとみっぽくなってきた感じがしてやめた。

研究法の向き不向き

昨日から「次世代知識科学特論」というすごい名前のクラスが始まった。JAIST人間力なんとかとか,大きなタイトルが好きみたい(私は嫌いじゃない)。どういう内容なのかは興味ある人はシラバスで検索してください。

www.jaist.ac.jp

 
この授業は,集中して質的な研究法も量的な研究法にも慣れましょう,という意図があるクラスのように思う。4日目と5日目は機械学習とかデータマイニングの講座になる。本来はドクターコース用だけど,今年からマスターの人たちにも開放されたらしい。そのため夜18時半〜22時までなのに,受講者がけっこう多い。

 
今日から2日間は文化人類学の先生によるエスノグラフィの演習。観察しながらメモを取るというのが難しい。途中であれこれと妄想してしまう。基本,量的なアプローチが好きだから,バランスを取るためにもエスノグラフィみたいなものもできるようになりたいと思う。でも,妄想が止まらない。きっとこの人の人生は〜とか,考えてしまう。

 
自分にそういう傾向があるということを知っただけでもよかったかも。ひょっとして,こういうアプローチには向いてないのかな・・・。まあ,まだ始まったばかりだし,明日もエスノグラフィの演習が続くので,少しずつ慣れていこう。在学中に1本,エスノグラフィで論文を書いてみたい・・・。

 
★ ★ ★
本日の進捗=1643文字

研究ノート代わりのブログ

たまたま読んだ向後千春先生(ハンバーガー統計学・アイスクリーム統計学でおなじみ)のブログと『きょうから日記を書いてみよう 2』に刺激を受け(大人なら10分で読める本),少しずつ更新頻度を上げてみる*1

 
kogo.hatenablog.com

 

きょうから日記を書いてみよう〈2〉日記をスラスラ書く方法

きょうから日記を書いてみよう〈2〉日記をスラスラ書く方法

 
『きょうから日記を〜2』を読んで得たのは次の2つ。

 
1.想定読者は未来の自分
→これならブログを研究ノートの代用にもできそう。
2.オチをつけない
→これなら気軽。どうせ想定読者は未来の自分だし。

 
さて,久しぶりに以前通っていた社会人大学院のゼミにお邪魔した。今年の現役の社会人学生もテーマ決めに悩んでいるようで,「思ったより楽にテーマが決まっていた自分はラッキーだったのかも」と思った次第。

 
在籍時はいろいろあって結局,管理会計が専門のベテラン先生に指導を受け,修論相当の論文を書いた。専門はぜんぜん違っても,一流の研究者からの指摘は的確で,社会科学の論文としてはそれなりのものができたと思う。

 
現在,博士後期課程で指導を受けているのはイケイケの若手の先生。研究進捗を報告しているとき,不明点があるときは鋭くポイントを突いてくれる。ベテラン研究者と若手研究者の両方から指導を受けた(いる)経験はどこかで活きてくると思いたい。

 
★  ★  ★
今日の研究進捗=693文字

*1:筆をにぶらせないために書く,というのも1つの理由。

統計的因果推論の勉強会の前準備

きっかけは,先月の月1ゼミでした。3時間のゼミのうち,はじめの1時間は輪読をしています。その中で私が「統計的因果推論というものがあるらしい」と情報共有をして,その後「日本社会心理学会 春の方法論セミナー」のページを紹介したところ,先生が興味を示されました。そして,5月からゼミ前の90分間を使って,自由参加で統計的因果推論の勉強会(1回につき1章ずつ)をスタートすることにしました。私が音頭を取って…*1

 
私を含め,参加者となるのは経営学(主にマネジメント)を勉強・研究しに来ている社会人学生なので,基本,文系が多いです。統計分析の基本知識を一緒に復習しながら,勉強会を進めていく予定です。

 
まず,統計的因果推論勉強会の前準備をするために,資料にあたりました。そのまとめメモとして,書き残しておきます。書籍,ブログ・スライド,Cinii で検索した日本語論文の3タイプに分けます。

 

書籍

代表的なのは次の2冊。必ず紹介されています。もう紹介も不要なレベル。

統計的因果推論―回帰分析の新しい枠組み (シリーズ・予測と発見の科学)

統計的因果推論―回帰分析の新しい枠組み (シリーズ・予測と発見の科学)

 
ただし,数学を学部のときに学んでいない人にはきついです。宮川本は6章より先はサッパリ(目は通した)。現時点では,宮川本・星野本も合わせて3割くらい理解できたかどうか,というところ。私のような文系には次の森田本でイメージをつかむのがよさそうです。16章に説明があります。ただし,アニメが好きな人に限ります。

 
もう1つ日本語ではタイトルど直球の本があります。上記2冊よりはやさしい印象ですが,数式はけっこう出てきます。この本は4割くらい理解できたかもしれません。

統計的因果推論 (統計解析スタンダード)

統計的因果推論 (統計解析スタンダード)

 
もっと文系にやさしく統計的因果推論を説明している本はないかと,洋書もチェックしました。次の2つが読みやすそうでした。Kindle のサンプルをチェック後,まず私は ”Primer” のほうを購入して読み進めています。今年出たばかりだし,著者の1人が Judea Pearl なので,大きなまちがいはないだろう,そして薄い(印刷版だと160ページくらい)というのが選定理由です。とりあえず,1章まではついていけてます。

Counterfactuals and Causal Inference: Methods and Principles for Social Research (Analytical Methods for Social Research)

Counterfactuals and Causal Inference: Methods and Principles for Social Research (Analytical Methods for Social Research)

Causal Inference in Statistics: A Primer

Causal Inference in Statistics: A Primer

 

ブログ

Google で「統計的因果推論」で検索。結果の10ページ目まで確認して,私にとって参考になるのは次のものでした。

 
星野本を4回に分けてまとめてくれています。やっぱり難しい。いつかはわかるようになりたいです。
smrmkt.hatenablog.jp

 
こちらも星野本の実践例。もともと本にRのコードが付いているから,実際にやってみるのができるんですね。
www.fisproject.jp

 
こちらも読み応えがあります(まだ読み切れてない)。この分野は林先生のブログがとても勉強になります。
takehiko-i-hayashi.hatenablog.com

 
清水先生の LiNGAM まではたどり着けていません…(理解力と数学力が)。

 

論文など

検索すると,宮川先生・黒木先生を中心にいろいろ出てきます。でも,まだ自分には難しくて読めない。次のものはなんとか読めるんじゃないか,文系でも興味深いじゃないかというものをピックアップしました。少しずつ読んでいこうと思います(難しくて挫折する恐れ大)。

 
社会科学分野における統計的因果推論のためのマッチング手法の活用 : 企業金融の研究における適用とその問題
ci.nii.ac.jp

 
「特集 因果的説明とベイジアンネットワーク」の以下の5本(『哲学論叢』35巻,pp. 81–141,2008)

 
因果とは何かをめぐる哲学的論争(1)D.ルイスの反事実的条件法による分析とその批判
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/96279

 
因果とは何かをめぐる哲学的論争(2)メンジーズの機能主義とそれに対する批判
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/96278

 
哲学者のためのベイジアンネットワーク入門
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/96277

 
ベイジアンネットワーク、共通原因、そして因果的マルコフ条件
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/96276

 
ベイジアンネットワークと確率の解釈
[
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/96275]

 
あと2つほど。
因果効果におけるバックドア/フロントドア基準について
http://www.math.chuo-u.ac.jp/\~sugiyama/14/14-01.pdf

 
<研究ノート>因果推論の理論と分析手法
ci.nii.ac.jp

*1:とても大きなプレッシャーですが,これくらいやらないと動かないので,がんばります。ちなみに裏目標として,他のゼミ生の方にも統計分析に興味を持ってもらって,こっそりR仲間を増やし,いっしょにベイズ統計を勉強できるようになりたいです。

博士後期課程に入学しました

2016年4月から JAIST 東京社会人コース 博士後期課程の学生になりました。知識科学系です。

 
たぶん今後、大学院名に「北陸」が付いているから、「場所は東京なんですよ」と誤解を解くセリフを何回もする難行が待ち構えてるんだと思います。また、所属研究科が「先端科学技術研究科」なので「自分は文系です。経営、マーケティング系の研究やってます」と誤解を解くセリフを何回もする難行も待ち構えてるんだと思います。

 
私の場合は入学までこのようなスケジュールでした。

 
2015年3月 指導をお願いしたい先生とコンタクト・面会

11月 出願

12月 入学試験

2016年1月 合格発表(うろ覚え)

2~3月 いろいろ手続き(1月からゼミに見学参加)

4月 入学・履修手続き・コースワークスタート!

 
昨年の春にDBSを修了したので、1年間ブランクがあります。最終的にJAIST 東京社会人コースにしたのは、次の3つの理由+α*1です。

  • 当然、学生は社会人のみ。
  • サービス研究が盛ん。
  • 雰囲気がカリカリ・ピリピリしてない。

 
基本、自分の研究は量的研究がメインですが、質的研究法にも触れて、幅を広げたいところ。大学院名に「先端科学」が入っているのに、人類学や哲学やデザインの先生がいる JAIST は私にはよさそうです。

 
希少種である社会人博士後期課程の生活は今後もアップしていこうと思います。なお、入学したのはこちらです。 「準備中」という表示がさみしい…。

先端知識科学プログラム | 北陸先端科学技術大学院大学 東京サテライト

*1:偶然にも自分のブログタイトルに「知識」が入ってた。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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